【あ行】

一括返済

一般的に月々の分割払い契約によって支払うローンを、まとめて1回で返すことです。

住宅ローンの返済を滞納し“期限の利益”が喪失された場合にこの要求がおこなわれ、債権者から一括返済を求められるものを「住宅ローン残額の一括返済」と呼ばれます。

借り手(債務者)は、貸し手(債権者)からの「一括返済の通知」が届いた場合に

  • ローン残額を一括で返済する
  • 任意売却を進める
  • 担保物件を競売にかける

この3点いずれかの行動を取らなければなりません。なお放置した場合は自動的に競売へ進みます。

委任状

他者に契約などの事務活動を依頼する書類です。委任状を受け取った人は事務を処理する義務・責任を持ちます。

任意売却を委任状で行う場合には、依頼者本人による①実印の押印②印鑑証明書の添付 の二点が必要となり、 所有権移転登記について担当する司法書士によって本人確認が進められます。

売渡承諾書

物件所有者から、対象物件を売却する意思を表明する文書です。書面内には、物件の表示・契約締結予定年月日・売買代金の予定額・有効期限が記載されます。
ただしこの承諾書は、契約成立前の段階においていったんの意思を示す文書であり、法的拘束力は弱いとされています。

親子間売買

親子関係にある者どうしで、不動産を売買する方法です。

任意売却の方法の一つで、売り手は家賃を払いつつ物件に住み続けることが可能になります。一方、持ち主となった側は物件所有者となることで家賃収入が確保できるなどのメリットがあるため、親族関係にある間柄でこの売買方法を取るケースもあります。なお、この支払いのために住宅ローンを組むことも可能ですが、多く場合では融資規定によりローン融資が難しいとされています。

そのほか、夫婦間や親族間でもこの方法を取ることができ、それぞれ「夫婦間売買」「親族間売買」とも呼ばれます。また、不動産会社や投資家などの第三者との不動産売買は「リースバック」とも呼ばれます。

【か行】

期限の利益(喪失)

「この期日まで債務を返済しなくてよい権利」のことです。

例えば「借りた100万円を、毎月25日に5万円返済する」契約であれば、「毎月25日に5万円を払えば、それ以上の返済は求められない」ということになります。つまり、借り手(債務者)は契約に正しく従って返済をする限り、貸し手(債権者)それ以上の返済を要求されることはありません。

また、「期限の利益喪失」とはローンの滞納などの契約違反や債務不履行が生じ「期限の利益」が認められなくなった状況を指します。期限の利益が失われると、借り手は残っている債務全額をすぐに返済しなければなりません。返済できない場合に、貸し手は裁判所へ競売申立てが可能になります。

強制競売

債務整理を目的に、債務者が所有する不動産を競売にかける方法です。この競売は裁判所または執行官によって許可された、公文書の命令によって行うことが可能です。

融資金の貸し手(債権者)の権利回復を目標に進められるため、借り手(債務者)には多くの制約が課されます。

なお、強制競売ではそれぞれの事案に事件番号が付けられ、「昭和○○年(ヌ)第×××号」のように事案整理が進められます。

競売

複数の購入希望者から値段を提示させて、最高価格を出した者に売却する方法です。

競売の種類は2つあり、「担保不動産の競売」と「強制競売」に分けられます。

担保不動産の競売は、債権者(貸し手)の抵当権実行によって借り手の不動産を、裁判所を介して強制的に売買する手続きです。事件番号は「昭和○○年 第×××号」と付けられます。多くは経済的事情によって競売に回ったケースが多いです。

対して強制競売は、債務者(借り手)による契約違反や不法行為を原因に行なわれる競売です。裁判所からの判決や公正証書による債務名義のもと、司法権力によって債権回収が進められます。事件番号「昭和○○年(ヌ)第×××号」のように事案整理が進められます。

競売開始通知

債権者が裁判所に「競売申立て」を行い、裁判所が受理したことを債務者に通知する書類です。債務者による住宅ローン滞納の被害を抑えるため、債権者は期限の利益が喪失された場合に申立てを進めることができます。

この通知書類が来た場合、債務者は一刻も早い対応と競売を回避する行動が求められます。

個人民事再生

民事再生法で定められている借金の救済制度で、「個人再生」とも呼ばれます。

地方裁判所に申立てを行うことで、まず「最低弁済額」まで借金を減額できます。つぎに3年間で返済する再生計画を設定する手続きが進み、裁判所から再生計画の認可をもって返済を進めることとなります。

また、民事再生には2種類の方法があり、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」いずれかによる手続きが可能です。

  • 小規模個人再生:基本的には営業者や定期収入を持たない方が対象です。裁判所に返済計画を認めてもらう前に債権者からの同意が必要となり、過半数以上の同意がなければ返済計画は却下され、借金の減額はできません。ただし認可される条件の範囲内であれば、計画の融通が利く方法です。
  • 給与所得者等再生:過去2年間の所得が安定している、給与所得者が対象です(小規模個人再生も選択可能)。債権者の同意は必要なく、裁判所に申請すれば再生計画は許可されます。ただし、こちらを選んだ場合の最低弁済額として「可処分所得の2年分」と定められているので、返済総額が個人再生よりもさらに大きくなります。(民事再生法第241条に基づく)

いずれの方法にせよ、所有不動産を手放さずに債務整理を進める有効な方法とされています。

【さ行】

サービサー

「債権回収会社」の通称。債権者に代わって不良債権を回収する専門業者を指します。

1999年2月に「再建間流回収業に関する特別措置法(通称:サービサー法)」において、一部の債権に限り業務が認められました。

サービサーとして業務を行うためには、法務大臣より「一定の資本金・取締役に1名以上の弁護士在任・暴力団との関係性が一切無い」など、指定条件の全てを認可される必要があります。そのため、暴力団などとの関係性はなく、取り立て自体も法的効力に従って進められます。

なお、法務省から正式に認可を受けたサービサーは、「社団法人全国サービサー協会」で検索可能です。

債権者

お金を出した、貸した側のことです。

債権を持つことで、お金の支払請求など特定の要求ができるようになります。一般的には住宅ローンの債権者は、銀行などの「金融機関」となります。

債務者

お金を借りた側のことです。

債務者は、債権者に対して定められた条件の中で借りたお金を返す義務が課されます。また債務者は、借入するために所有している資産に担保をかける「抵当権」を付けることがほとんどです。

差押

貸し手(債権者)が債権を回収するために、借り手(債務者)の財産を確保することです。

差押された財産は債務者によって処分することができなくなります。基本的に日常生活や信教・生存権に関わるもの以外、金銭評価が可能な財産については差押の対象となります。

【差押可能な対象物】

  • 動産・有価証券:生活必需品や生存権が認められる一定金額・信教関連を除く、所有物すべてが対象です 。 (他人に帰属する所有物は除外されます)
  • 不動産、電話加入権などの契約:債務者の名義によって登記、または登録されているもの。
  • 債権:借用証書、預金、売掛帳など債務者に帰属すると認められたもの。(生計を維持するために必要となる賃金、棒給などは4分の3に相当する部分のみ除外されます。また、その総額が月額33万円を超える場合には調整が行われます)

なお、社会政策によって配分された国民年金、厚生年金、健康保険、生活保護給付金は一切の差押が禁止されています。

自己破産

債務者が裁判所に申立てを行い、財産を清算する手続です。これは多額の借金によって苦しむ人を救済する制度です。

破産法では、申立てによって裁判所から“免責許可決定”が認められた場合に債務をゼロにし、返済義務を免れることとなります。自己破産した人の手元には「100万円以下の現金」と、「20万円以下の財産(家や車、家電製品など)」のみ残すことができます。

加えて、①一部の職業への就業制限(弁護士や建設業、警備員など、5~10年間など)と、②新しい借金の不可(各種ローン・クレジットカードなど、申請受理から7年間) 2点の制約がかかります。

専任媒介契約

任意売却などのケースで、不動産会社と結ぶ契約方法の一つです。

専任媒介契約を締結すると、不動産を取引するためにはこの契約を結んだ会社(X社)を通さなければ取引や契約ができなくなります。交渉状況が複雑になったり、連絡を円滑に進めたりする為に活用されます。

専任媒介を結んでいる間は、「7営業日以内に指定流通機構(不動産会社間の専門サイト)への情報登録」と、「2週間ごとに依頼者への報告」2点の義務が不動産会社に課せられます。

債権者との連絡がスムーズに進むため、任意売却ではこの契約方法を取る場合が多くなります。

【た行】

代位弁済

債権者以外の第三者、または共同債務者の一人が債権者に向けて債務の弁済をする行為です。

住宅ローンの場合、まず保証会社が債権者(金融機関)に、債務者にかわって一括返済を行います。代位弁済のあと、債務者は保証会社から支払われた分のローンを一括請求する必要があります。

担保不動産の競売

債権者(貸し手)が抵当権を実行し、裁判所管轄のもとで借り手の不動産を強制的に売買する手続きです。

抵当権は、債務者(借り手)に貸した融資金が回収できるようにする権利を不動産に付属させ、裁判所によって許可された場合に行使されます。

事件番号は「昭和○○年(ケ) 第×××号」と付けられます。多くは経済的事情によって競売に回ったケースが多い見受けられます。

遅延損害金

債務返済において、期日までに支払われないなどの債務不履行(返済の約束破られた)になった場合の損害賠償金です。

なお、遅延損害金の額は「利息制限法」によって定められており、

  • 10万円未満:29.2%/年
  • 10万円以上100万円未満:26.28%/年
  • 100万円以上:21.9%/年

に基づいて遅延損害金が設定されています。

抵当権

お金を貸すとき不動産に設定される担保のこと、また保証や財産をもらえる権利を指します。

お金の貸し手(債権者)が、ローンの支払いを出来る限り返済されるよう保証を付ける権利です。抵当権が付いた不動産は、もし借り手から返済が受け取れなくなった場合に担保とした不動産売却などを通してして、最大限債務を返済されることを目的に利用されます。

抵当権が付く対象は不動産のほかに、地上権、自動車、船舶などにも適応されます。

【な行】

内容証明郵便

受取人に送付した郵便内容について、その証拠を郵便局が証明する郵便物、またその制度のことです。

任意売却や競売では、督促状・催告状・競売開始通知などの重い段階での通告書に用いられる郵便となります。そのため内容証明によって送られた内容に対して、受取人は誠実に対応する必要があります。

任意整理

個人によって債務整理をおこなう方法のひとつです。当事者の間だけで債務整理を行うため、裁判所などの公的機関による関与はありません。ほとんどの場合では弁護士が代理人として和解交渉を進めます。

任意売買

ローン返済が困難になった状況で、債権者全員の同意のもとで売却をすすめる債務整理方法です。一般的に、競売よりも返済できる債務額が大きく、様々な権利の制限が少ないことから有効な債務整理として扱われています。

「任意売却について」

【は行】

売却基準価格

競売にて、裁判所が設定する対象不動産の入札にかかる基準価格のことです。

競売に入札するためには、①売却基準価格の2割以上の保証金(=買受申出保証金)を納め ②売却基準価格の8割以上の価格(=買受可能金額)で入札 の両条件を満たす必要があります。

保証会社

住宅ローン等を借りる際、債務者と“保証委託契約”を結ぶ会社を指します。保証委託契約を結ぶことで、住宅ローン等の滞納が起きた場合に債務者に代わって、保証会社が債権者に一括で借入を返済する「代位弁済」を行います。

代位弁済のあと、債務者は保証会社に対して支払った分だけのローン残債(金利・延滞利息含む)を一括返済する必要があります。

【ま行】

民事再生

企業や個人が所定の地方裁判所へ申立てを行い、債務の一部免除や長期の返済条件適応などの再生計画を設定する手続きです。

民事執行(手続)

債権者が裁判所に申立てを行い、裁判所が債務者の財産を差し押さえて換価して債権者に分配する方法、また実行するための一連の手続きです。

これは競売に用いられ、債権者の権利保護を進めるために、債務者の権利を制限する一定の強制力のもとで行われます。

【ら行】

リースバック

所有している不動産を第三者(親族や投資家)に売却すると同時に、賃貸契約を結ぶ取引です。この方法によって元の所有者は物件に住み続けることが可能となります。そのため競売を回避して任意売却を選択される方が多いです。

リスケジュール(リスケ)

借り手からの要望を受けて、ローン返済の計画を見直しによって返済期限を延ばすことを指します。基本的には金融機関と債務者との「任意整理」で進められます。

月々の返済額や返済総額を減らしたり、返済期日を変更したりすることで住宅ローンを返済できる状態に直します。ただし、リスケジュールを行ってもローン返済が困難な場合には、他の整理手段を取るほうが望ましいでしょう。

連帯保証

ローン借入の際に、借入者本人(=債務者)とともに借入金を返済する義務を、“連帯保証人”という形で債務者と同様に負うという保証です。

連帯保証人は債権者(金融機関など)より債務返済を請求された場合には債務者に代わって返済義務に応じなければなりません。