任意売却と競売では、新しい生活の切り方や精神的な負担がまったく違います。
「任意売却」は競売よりも多くのメリットが残されている債務整理の方法です。競売につい
て理解し、違いを把握したうえでぜひ任意売却の相談に進みましょう。
競売は債務整理の最終手段
競売は、民事執行法で規定される「強制執行」のもとで可能な手続です。
債権者が競売手続きの申し立てを行い、裁判所がそれを受理して競売開始の決定することで
、裁判所から相談者に「担保不動産競売開始通知決定」が郵送されます。競売の流れについ
て確認しましょう。
競売の流れとスケジュール
競売は、民事執行法で規定される「強制執行」のもとで可能な手続です。
債権者が競売手続きの申し立てを行い、裁判所がそれを受理して競売開始の決定することで、裁判所から相談者に「担保不動産競売開始通知決定」が郵送されます。競売の流れについて確認しましょう。
表のように、競売開始の通知が届いた段階で、競売で落札されるまで4カ月から6カ月しか時間がありません。何もしなければ、たった半年で所有権が移ってしまうのです。
なお、任意売却にかかる平均期間は3カ月と、早い段階で動かないと間に合わないケースも多く見受けられます。残された時間が少なく負担の大きい債務整理方法を取らざるを得なくなるので、早い段階で相談する必要があるのです。
競売によるデメリット
競売は、債権者が持つ権利を守るための手段です。これは民事執行法に定められています。
そのため不動産を所有していた債務者には、以下のようなデメリットが課されてしまいます。
- 売却価格:市場価格の50~70%程度の価値に抑えられる
- プライバシー:競売専用サイトなどに公開され、所在地情報や内観が知られてしまう
- 残債返済:任意売却より多額が、一括で返済を求められる
- 引越し費用:費用は全額自己負担、引越日も指定不可
- 債務者の意思:一切反映できない。課される命令に従うのみ
所有する不動産が落札されると、この時点で任意売却など他の債務整理は不可能となります。落札者が裁判所に入札金を納めると登記上の所有者も変更されます。その後、裁判所による引渡命令によって退去させられます。(民事執行法168条)
任意売却が競売よりも推奨される理由
任意売却は、以下のようなメリットを相談者側にもたらします。
- 高額での売却が可能:一般的な不動産取引と同じく、時価で売却します。競売よりも3~4割ほどの取引額となるので、売却後の残債が少なくなります。
- 引越し代金が控除される可能性:購入者や債権者との交渉で、売却代金の一部を引越し代金として受け取れるケースもあります。
- 債務の分割返済ができる:残った債務額によっては、期限を決めて無理のない返済計画を立てることも可能です。
任意売却は、再スタートや心理的な余裕が残される債務整理方法です。
任意売却は個人の意思が反映される
任意売却は個人の任意によって債務を返済します。この方法は裁判所が関わらないので、強制執行などの義務は課されることはありません。
また、競売よりも取引額が高く、経済的合理的のある返済方法です。もし任意売却による返済に銀行側などの債権者が納得できるのであれば、競売の取り下げも十分に可能です。そのため任意売却では引越し代金や期日についても十分に交渉ができるのです。