任意売却の流れ
任意売却の相談~手続き、解決に至るまでの流れやスケジュールは、お借入が住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)であるか、民間系金融機関であるか、また、ご相談者さまのご状況によって、取るべき方法は異なります。
また、任意売却の期間は通常3~6ヵ月ほどかかりますが、債務状況や物件の状況などによって任意売却に要する期間は変わりますので目安としてお考えください。
- 電話・郵便での督促
- 電話やメール・対面での相談
- 物件価格の査定・専任契約の締結
- 債権者との交渉
- 販売活動
- 売買契約
- 引っ越し準備
- 決済~清算
- 新生活のスタート
任意売却後の生活
もし家やマンションを任意売却できれば、どのような生活状況となるのでしょうか。
ここでは任意売却によって所有するマイホームを整理したあとの生活についてお伝えします。もちろんご家庭のケースによって異なるため、すべて下記の通りであると言えませんが大まかな傾向として捉えていただければと思います。
住宅ローンの残債について
ほとんどの場合ではローン残債が物件売却額より上回るため債務が残ります。しかし一部のエリアにある不動産を整理すると近年の不動産相場上昇によって完済できるケースもあります。
- オーバーローン状態
任意売却された後、多くの場合は支払いローンが残ります。ほとんどの場合では購入時の金額と比べて、不動産相場が下がるケースが多いためです。
地価・建物価格にもよりますが、数百万円から1千万円程度の残債があるケースが多いと考えるのがよろしいと思われます。
※アンダーローン状態:こちらはほとんど無いケースですが、所有していたエリアの不動産地価が高まっている場合には債務が完済できる状況もあります。傾向としては「山手線内部のエリア」や新宿・渋谷・品川など「拠点駅の近郊エリア」、北千住・綾瀬などの「新興開発エリア」にてアンダーローンの可能性があります。
残ったローン(債務)の返済について
ではオーバーローンによって残債が残った場合は、どのように債務整理を進めることになるのでしょうか?基本的には以下の3つの手段が考えられます。
① 任意整理
債務者主導のもと、銀行などの債権者に対して返済計画の見直しや申請によって返済可能な方法に変更してもらう手段です。一般的には弁護士や司法書士を介して交渉を進め、最終的には“和解書”という形で妥結します。ただし和解書には法的拘束力がほとんど無いため、和解内容を破る事態がないように心掛けましょう。
②特別調停
任意整理と似た手段ですが、裁判所の調停員が交渉に加わります。最終的には法的拘束をもつ“調停調書”によって交渉内容の確認・妥結が結ばれます。
③自己破産
上記2点の債務整理を取ったとしても返済期間が非常に長くなるケースでは、自己破産する方法も残っています。こちらは地方裁判所に申請することで債務をゼロにする手段です。一定基準まで財産を差し出すことになりますが、無理な過重債務から解放され再スタートを切ることにもつながります。
※また、住宅ローン以外の債務を抱えている場合には「個人民事再生」という手段で債務の総額を圧縮できるケースもあります。こちらは住宅ローンに対しては適応できないため、もし他種の債務を抱えているのであれば検討してみる余地があります。
以上のように、任意売却後も債務整理する方法があります。
上記3ついずれかの方法で、毎月無理のない範囲で返済を続けるか、もしくは大部分の財産を整理してでも債務を帳消しにするか選択できます。もし返済計画に困難があれば検討してみることを推奨します。
生活環境の変化について
任意売却によって、もし引っ越しをしたらどのような費用が掛かることになるのでしょうか?また毎月の支払見込みや生活費はどうなるのだろうか?その様子についてすこし見てみましょう。
賃貸住宅への引っ越し
任意売却後に賃貸住宅に引っ越すと、このような費用がかかります。
・家賃:1K/1DK:9.6万円 1LDK/2K/2DK:17.5万円(※港区の場合、SUUMO「東京都の家賃相場・賃料相場情報を探す」より)
・管理費:7500円(50×150円)
・修繕積立金:1.0万円(50㎡×200円)
ご存知かとは思いますが、賃貸住宅では基本的に「家賃+管理費+修繕積立金」が必要となります。上記の家賃は「港区」を想定しているため、他の自治体の場合には相対的に毎月の費用が安くなると考えてください。
たとえ一人暮らしですこし余裕あるくらいの間取りや、家族数人で少し狭い程度の間取りとするにしても、10万円強の予算を見越しておくのが望ましいでしょう。
賃貸住宅に住むメリットは?
賃貸住宅に変わることで、毎年のように費用がかさんだ「固定資産税」の納付を気にする必要がなくなります。地価の高さや土地の広さにもよりますが、一年で10万~20万円以上かかるケースもあるものが考慮しなくて済むのはメリットと言えましょう。
また突発的な修理費・修繕費も、基本的に大家の負担で直すこととなるので万が一のトラブルにも安心です。(火災保険で補償できる場合もあり) お持ちのわが家を手放すのは心苦しいかもしれませんが、家計のコントロールによって人生を再起させるチャンスでもあります。賃貸住宅やご自宅に戻ることを考慮しながら任意売却を検討されてはいかがでしょうか。
任意売却を成功させるためには?
競売を避けたからには、どうしてでも任意売却を行って生活再建を成功させたいはずです。では任意売却を成功されるにはどうしたら良いのでしょうか?それには以下の4点が必要だと考えています。
- 債権者と差押側から確実な同意を得られること
- 販売価格が取引されやすい、妥当なラインで進めること
- 人気・需要のあるエリアで、適切に販売すること
① 債権者と差押側から確実な同意が得られること
任意売却を進めるためには多くの人から同意を得なければなりません。特に必要な相手は、抵当権を持つ“債権者”(金融機関など)・裁判所からの命のもと差押に動く“差押側”(役所・裁判所)・契約書に名を連ねる“共同保証人(パートナー・親族など)”の3方を説得する必要があります。
任意売却を専門の会社に依頼した場合には、専属のスタッフ・アドバイザーと一緒に交渉を進めることとなります。その際に、着実な返済計画や不動産の整備、そして相談者の誠意と決意を示しましょう。
②販売価格が取引されやすい、妥当なラインで進めること
任意売却によって最大限、債務を帳消しできるように高く価格設定したい気持ちはもっともです。ただし、対象となる不動産・物件がさまざまな理由によって「より安く売りださないと取引が進まない」のであれば、妥協せざるを得ない可能性もあります。
例えば、競売までのリミットが少ないがために一刻も早く関心のある購入者を探さなければならない場合、物件に瑕疵(キズなどの不備)があり購入者に費用負担が求められる可能性が高い場合など、売り出す側が妥協する必要があれば、その条件を呑む勇気も必要です。
③人気・需要のあるエリアで、適切に販売すること
ご存知の通り、不動産は人気のあるエリアほど欲しい人も多くなり高い価値がつくものです。対象の不動産がどれだけ需要が見込まれていて、どれだけの価格を提示して売り出せばよいか決まってきます。もし任意売却で告知するには不利なエリアであれば、査定価格より少し低い価格で売り出すことも考える必要があります。
④パートナーとなる任意売却専門会社と、協力して任意売却を進める
これはごく当たり前なことかもしれませんが、パートナーとなる会社と相談者がしっかりと協力して任意売却の実現に向かって進む必要があります。もし売却に至るまでに心の壁となっていることがあれば、遠慮なく相談しましょう。
たとえ今の段階で、多くの住宅ローンが残ってしまっても諦めることはありません。今後も続く生活のためにも最善の方法を探し、任意売却支援を行う会社とともに目標の達成と生活再建をめざしましょう。