住宅ローンの延滞には様々な理由があります。収入の減少や突然のアクシデントだけでなく、多重債務に家族問題、また投資の失敗などによって住宅ローンが払えなくなるケースです。こちらでは、住宅ローンを延滞・滞納したらどんなことが起こるのかを、期間ごとに解説していきます。
住宅ローン滞納から1~2カ月
金融機関から「通知状」による確認や、電話連絡によって直接の確認があります。
滞納期間が2ヶ月以内(2回以下)であれば自宅が競売にかけられてしまう心配はありません。たまたま口座残高が足りなかった、支払いの入れ違いが起こったなど何かしらのアクシデントも含まれるからです。 まず滞納1回目で「通知状」が届き、2回目には通知状の再送付と金融機関から確認の電話があります。ですがこの段階では、すぐに一定の金額を払うなどしっかり対応が出来れば問題はありません。もしうっかり延滞してしまったら、即座に誠実な対応を行いましょう。
住宅ローン滞納から3カ月
「督促状(催告状)」が銀行から送られてきます。
滞納が3か月目(3回連続での滞納)になると銀行から直接連絡があります。3カ月分支払いを延滞すると住宅ローンの支払いを促す「督促状(または催告状)」という書類が届き、競売に向けた手続きが開始されてしまいます。
「督促状」が届いたら絶対に無視せず、金融機関の窓口に出向いて住宅ローンの返済スケジュールの変更(リスケジュール)などの相談を進めるべきです。競売の申請取り下げや債務整理に動きましょう。
住宅ローン滞納から4~6カ月
「代位弁済通知書」が送られ、競売に進んでしまいます。
住宅ローンの滞納が4~6ヶ月となると、「期限の利益喪失通知」と「代位弁済通知書」という通知が届くようになります。この期間で“期限の利益喪失”という借り手のメリットが失われて、ある日突然「これまで支払わなかったお金を一括によって返済すること」を要求されるので、早急に対処しなければなりません。
なお、「代位弁済通知書」は“保証会社が債務者の住宅ローンを代わりに一括返済した”という内容を伝える通知書です。これは借金の取り立て先が銀行(現債権者)から保証会社に変わったことを伝える書類であり、もちろんですが債務は消滅しません。かなり雲行きが怪しいと考えるべきです。
住宅ローン滞納から7~9カ月
一括返済を求める通知と「競売開始決定通知書」が送られます。
住宅ローンは、7ヶ月間滞納してしまうと、今後は一括返済するよう金融機関から通達がきます。そして自宅が競売にかけられることを通知する競売開始決定通知書が届くようになります。この書類が届いたら6ヶ月後には競売が開始されてしまうので、この段階が「任意売却によって競売を回避できる瀬戸際」となります。
この段階では、裁判所の命令のもとで現地調査がはじまり、自宅が競売にかけられてしまうのも時間の問題です。早く専門家に相談すれば競売を回避できる可能性が残されていますので、諦めずに専門家に相談しましょう。
住宅ローン滞納から9~10カ月
任意売却のラストチャンスが残されています。急いで任意売却による整理をすすめましょう。
競売開始決定が通知されてから1~2ヶ月ほどで、裁判所から派遣される執行官が「現況調査」を行われます。現況調査では執行官による物件内の撮影や、同行する土地家屋0調査士によって物件の状態確認が進められます。調査で得られた情報は、競売情報サイトの参考資料として用いられます。 この調査は民事執行法第57・58条に定められたものです。調査に協力しない場合は所有者の許可が無くとも鍵を開けられ、強制的に調査が進められます。
「競売の期間入札通知書」が来た瞬間が、本当に最後のチャンスです。
競売の入札開始から1~2週間前に「競売の期間入札通知書」が裁判所より送付されます。競売開始から落札まで1週間から1か月を要します。つまり、この通知書が来た段階で、競売によって家を失うまであと1か月程度しか残されていないのです。 任意売却など解決の道筋が立てられた場合、競売で落札される前日までに取り下げが可能です。任意売却が成功できれば、ローン残債の整理を大きく進めることができるだけでなく、引越し資金や新生活のスタートに向けて資金が残せる望みがあります。
競売終了後
昼夜を問わずに家から強制退去させられ、ほとんど財産は残りません。
自宅が落札されると、債務者が持っていた不動産の所有権は失われます。落札者(買受人)に「立ち退きの申立」が裁判所で許可されると、強制的に家から退去しなければなりません。なお、退去にかかった費用は債務者に全額請求となります。(民事執行法第168条に基づく)
何の手立てもなく競売まで進んでしまうと財産はほとんど残りません。多くの場合では多くの残債に悩まされ続けたり自己破産となる場合が多く、連帯保証人にも多大な損害や迷惑を被ることとなります。住宅ローンを延滞・滞納によって督促状などの通知が来たら、早い段階で金融機関や弁護士、不動産会社に相談を進めましょう。