任意売却は完了までに必要な期間は、平均3~6カ月ほどかかります。

以下のような流れで進行しますが、債務状況や物件状況によって期間は変動します。一般的
に猶予期間が長いほど望ましい結果につながるので、将来的に住宅ローンの返済が困難にな
る見込みがあるならば、早いほど債務の解消が可能になります。

電話・郵便による督促状などの確認

住宅ローンを滞納すると、金融機関から以下のような書類が届きます。
お手元に届いていないか、必ず確認してください。

  • 通知状

「ご入金のお願い」などの題名で、返済が1回滞納された場合に送付されます。引き落としの行き違いや残高不足などの原因に含まれ、誰にでも送付される可能性のある書類です。

すみやかに確認を取り、入金手続きを進めましょう。適切な対応を取ればまったく問題はありません。

  • 督促状/催告状(催促状)

こちらは非常に重要な書類です。滞納が3カ月続いた場合に金融機関からの電話とあわせ、内容証明郵便によって送付されます。「定めた期日までに滞納金額分を一括支払い指示」「支払ができない場合は“期限の利益”を失い、法的措置によって対処する」という趣旨の警告文です。

受け取った段階で迅速な対応が推奨されます。もし返済状況が思わしくなければ、この段階で金融機関や任意売却専門会社への相談などを進めましょう。任意整理や民事再生、場合によっては任意売却によって債務整理できる可能性があります。

  • 競売開始決定通知書(担保不動産競売開始決定通知)

この書類が届いたら競売は目前。住宅ローンの滞納から9カ月程度で送付される重要書類です。この通知書は債権者から地方裁判所への申し立てが認可され、裁判所から「担保不動産を競売にかける」強制力を有する通知書です。もし競売に掛かってしまったら物件は6カ月程度で強制売買されてしまい、相場価格の50%~70%での売買となりかねません。

しかし任意売却の合意が得ることで、競売申立を取り下げることも可能です。市場価格よりも割安に売り出し価格に設定する必要がありますが、競売を避けたい場合は急ぎご相談ください。

電話・メール・対面などで相談

上記の例に挙がる書類を確認したあと、任意売却を担当する各社に相談します。

  • 電話相談

住宅ローン滞納が続き、督促状や代位弁済などの緊急性の高い場合の利用が望ましいです。一部の会社では年中無休・土日祝でも対応しています。

  • メール相談

口頭での相談を避けたい、また受付時間外でのご相談可能です。ほとんどの場合では0~1日で返信があります。

  • 対面相談

直接お話することで状況把握がより早く進むので、可能であれば任意売却の担当者と顔を合わせるのが望ましいでしょう。また、一部の会社では訪問面談も可能です。

相談方法はさまざまですが、ご相談者様の状況を整理したうえで債務問題の解決に向けて債務整理の提案や任意売却の方法・スケジュールについての説明を受けられます。

物件価格の査定

不動産会社スタッフによって不動産価格の査定を進めます。このとき「任意売却取扱主任者」の有資格者が担当するとより確実です。

評価額は一般的な不動産査定と同水準となります。しかし競売落札までの期間が短いと、相場より販売価格を引き下げるケースもあるため早期での相談が推奨されます。

このあと1社の不動産会社と専任媒介契約(有効期限:3カ月)を結んで、再建可能な総残債額をもとに物件査定と売り出し価格を決定していきます。

債権者との交渉

不動産会社(もしくは任意売却団体)の提案に納得でき、専任媒介契約を締結してから債権者全員との交渉に進みます。

任意売却をするためには、全ての債権者による同意が必要です。「売却価格調整・競売取り下げ・残債の返済方法・引越費用の控除・そのほか任意売却にまつわる相談」などの協議を、担当者が主導して交渉にあたります。

販売活動

不動産会社が主導して、相談者の立場に応じた販売活動を進めます。

折り込みチラシ・インターネット・新聞広告欄を活用した宣伝や不動産会社間での販売など、事情に応じた活動が可能です。また、現在の物件に住み続けるためのリースバック(親子・親族間売買)などの方法を取ることができます。

売買契約の締結

販売活動に一定の目処が立った場合には、販売価格・契約条件・引越し日など購入希望者との調整を行います。同時に債権者全員からの最終合意を進めます。相談者・購入者・債権者の三方より合意を得て、宅地建物取引主任者の有資格者のもとで契約締結し完了となります。

引っ越し準備

不動産を引き渡し前に、引越しを完了させる必要があります。

任意売却を行う会社や団体によっては、新居の提案や独自に引っ越し業者紹介などの付帯サービスを持つところもあります。

任意売却の清算と引き渡し

以上の行程をすべて完了して、売買代金の清算と不動産の引渡しとなります。

指定された決済日に相談者・債権者・購入者と任意売却担当者が集まり、任意売却にかかった全費用の清算と各書類の引渡しを進めます。この段階で引越し費用や生活準備金が相談者に渡されます。

ここまでの行程にかかる所要期間は、3カ月から6カ月程度となります。

すべての良い再スタートのために、早めの相談がおすすめです。

以上の行程で、任意売却は進められます。

ですが相談された方の問題解決はむしろここからがスタートというべきです。

住宅ローンの整理でお困りの場合には、ぜひ早い段階で任意売却の専門会社や特定協会のもとへの相談を進めるべきです。問題解決は早いほど望ましい結果となります。新生活のスタートを切るためにも、すべての方々が最善策を取れることを願ってやみません。